イトウツヨシとのインタビュー:ONWARD グローバルコース企画の背景

インタビューに答えるイトウツヨシ

インタビューに答えるイトウツヨシ

みなさん、こんにちは!

現在ONWARD Japanでは、6月に開始するONWARDグローバルコースの準備の真っ最中です。今回はコースの開催に先立って、コース企画者であるONWARDディレクター、イトウツヨシ氏とインタビューを行いました。このコースを企画するに至った様々な考えに迫ります。

このコースを作ろうとした背景は何ですか?

今回、ONWARDを通してこのグローバルコースを提供してみようと思った背景は、アメリカでの写真教育について、例えばその仕組みや、懐の深さみたいなものが日本ではほとんど知られていないという点があります。

例えば、アメリカの写真と言われた時に、その時流行の写真家の名前や、ギャラリーの仕組み、アートフェアーなどのマーケットの話が話題になることは沢山ありますが、写真教育が話題に挙がることはほとんどないですね。しかし有名な写真家を育てたり、大きなマーケットを底から作り上げることができた理由として教育の仕組みは欠かせないことだと思います。ある意味、教育の仕組みを抜きにしてアメリカの写真を語ることはできないほど、役割や影響力が大きいものだと思います。

また、アメリカには自分の作品で成功する=教えるという形がかなり確立されていて、今まで写真界で写真家そして教育者として、たくさんの影響力を与えた写真家が数多くいます。例えばHarry Callahan, Emmet Gowin, Stephen ShoreやLarry Finkなどという名前が上げられますね。つまりこのような人たちが写真家として、また教育者として活躍してきたから、いろいろな写真家が出現する環境であったり、大きなマーケットなどの「今の状況」が存在するわけですね。

そうなのにも関わらず、日本ではアメリカの写真教育は話題になりませんし、また一つの成功例としてアメリカでの教え方を日本に持ってこようという試みもありません。そこで、フィラデルフィアという土地で、アメリカの写真教育にかなり草の根的にかかわってきた僕ができることは何かと考えた時に、自然と浮かび上がった答えがこのコースなのです。日本で写真家を目指している人と、こちらの講師とを繋げる、このような機会を用意できることはとても意味があり、また、今までにない様な試みであると思っています。

このコースを通じて期待していることは?

このグローバルコースを取ることによって、日本にいても海外で渡り合える写真作品が作れる人が絶対的に増えると思います。そして、そこまで準備ができた人たちが、これから海外のポートフォリオレビューやフォトフェスティバルなどで次のチャンスをもらえる場に出ることになっていくのでしょう。

海外で作品を発表していくにはまずは自分の作品のレベルがある程度ないと話にならない。しかも、自分の作品を発表したいと考えている人は海外にはもっと多くいる訳ですね。そういう海外のファインアートの層の厚さや競争の激しさを実感しながら学んでほしいと思う。つまり今回コースはこのような競争を写真家として、そして教育者としてみてきた講師たちの豊富な経験から学べることが一つの大きな特徴でしょう。

またこのコースはある意味大きな実験だと思っています。今までこのような規模で大学や大学院のレベルのアメリカ写真教育を日本の写真家が体験するという例が全くなかった。つまりとても未知なことですよね。しかも今回1度きりという単位で考えているのではなく、例えば10年などの長いスパンでみていくと、ここで起きることは日本の写真に対して、想像以上の影響力があると思います。

もちろん今回のクラスをとれば一年後に誰でも作品ができている訳ではないと思います。そんな公式みたいなものはないですし、スピードなども個人差があるでしょう。ただこのコースをとることによって、作品を作るプロセス/過程が自分自信の身に付くのではないかと。そしてその学んだものというのは、これからも自分の作品を作っていく長い道のりでいつも使えるツールであって、とても役に立つものでしょう。

海外で通じる写真とは何ですか?

よく聞かれますが、まずは自分に独特の世界観をもっているか、そしてそれを表現しているか、ということが大切だと思います。つまり自分にしか伝えられないもの、自分にしか興味がない事を、他の人が興味を持ってくれるように伝えているか?まずはそれがキーでしょう。

次に、その表現したいものを視覚的に訴えているか?写真は視覚的に訴えることで、文化や言葉を超えることが出来るわけです。そこを利用するに越したことはないでしょう。

最後に、ある特定の視覚文化の文脈のなかで分かる写真を作るか?、それとも特定の文化を超えた写真を作るか?ということです。

つまり日本人として日本人にしか分からない写真を作るか、それとも日本人として世界中の人に分かる作品を作るかということを考えながら作品を作っていくといいと思います。

アメリカでの写真教育の特徴とは?

まずは生徒主体の教育という点でしょう。つまり自分が何をしたいのか、どうやりたいのか?そしてどこを目指しているのかということが常に問われています。それらを、コンセプト的にも技術的にも明確にすることを手伝うのが教える側の役目だと思います。

個人の「違い」というものを前提に教育が進められる。あなたはどんな「人」で、どんな「視点」を持っているのですか?ということが常に問いかけれらる。「自分らしさ」や「自分しか持っていないものは?」と常に聞かれる訳ですね。自分の経験や教えてきた生徒たちを例として使い、その質問をいつも問う「仕組み」が先生の存在であると。

例えば、オルタナティブプロセスの第一人者としてボストンの大学院で教えているChristoher Jamesの言葉ですが、「僕は教える時に、生徒に質問しかしない」。どういうことかとうと、生徒達が自分で学ぶ方法を教えるのが彼の仕事だと言っているわけですね。

4つのプランを用意した理由は何ですか?

もともとはIプランだけを計画していましたが、参加者全員にフィラデルフィアまで来ることを要求するのは酷かと思い、簡略化されたHプランが誕生しました。

HとIの大きな違いは、学ぶ上で1対1の付き合いができるかということ。I、Lプランでは講師とのレビューはスカイプで行う面談という形で行われ、実際にフィラデルフィアに来て最後のレビューをする時なども含め、学ぶ過程ですべての講師と顔を合わせて一年間作品作りを進めることができます。この、1対1の付き合いは大きな財産になるでしょう。

もう1つの大きな違いは、フィラデルフィアでの作品展です。しかし、この作品展がコースの最終目的だと勘違いしないでほしいとも思っています。もちろん作品展自体は、それはそれで意味のあることですが、どちらかと言えばこの作品展を通してどのような体験が出来るのかということが目的です。例えば、講師と展示を念頭に置いたセレクト方法を学ぶ事や、実際にフィラデルフィアに来た時に一般の人の前で行なう英語でのプレゼンの準備等です。つまり、展示を通して派生する体験や経験がI、Lプランのもう1つの魅力でしょう。

今回フィラデルフィアに来る意義は?

皆さんが漠然と持っている「世界と繋がる」ということを、フィラデルフィアに来ることによってより具体化することができればと思っています。それが実際に講師と時間を過ごすことであったり、地元の人たちが見に来る展示をしたり、またはその人たちの前で行うプレゼンであったり、地元にある写真センターというものがどのように機能しているのかを知ることであるかもしれない。

海の向こうには自分の日常と同じぐらい複雑な「その人達の日常」がある訳ですね。海外で自分の作品を発表するということは、そういう人たちと関係を持つということです。それを実感するきっかけになってもらえればと思っています。

写真表現のあり方を世界から学ぶコース
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