ONWARDプログラムディレクター、イトウツヨシのインタビュー

ゲストのAndrew Mooreとのトークの様子。

ONWARD Summit中、ゲストのAndrew Mooreとのトークの様子。

みなさんこんにちは!

ONWARD JAPANではこの度11月に東京と神戸で「海外で自分の作品を発表する方法」というタイトルで2つのイベントを行います。今回はそれに先立って、イベントを企画したONWARDディレクターのイトウツヨシ氏にインタビューを行いました。今回のブログではそのインタビューを紹介します。

イトウさんはそもそもどのようなバックグラウンドを持っているのですか?

私は東海岸にあるフィラデルフィアという都市でProject Bashoという写真センターを営んでおり、写真を通してフィラデルフィアを活発にしていくということを基本に活動しています。普段は、地域の人に写真を学ぶクラスを提供していて、初心者向けのものから上級者向けのものまで、技術的なことから作品を作るアイデアなど幅広い内容を提供しています。

また毎年一度、ONWARD Compéという国際フォトコンテストとその入選者の展示、写真家によるレクチャー、ポートフォリオレビューなどが行われるONWARD Summitという写真イベントを行っています。

そもそも海外で作品を発表する利点は何ですか?

真っ先に挙げられるのは、写真に対するマーケットの大きさが違うということです。これは具体的な数字で説明できることではないのですが、海外での写真に対する需要は日本に比べると規模が違い、そのため常に新しいものが求められています。そう考えると大きなマーケットは作品発表の利点ではないでしょうか。

また自分の可能性を試す事ができる、ということもあります。 海外ではどのような作品を作っているのか、作品のアイデアは斬新であるかということが問われます。そのため、自分の可能性を試す事ができると同時に様々な評価や意見をもらうことができ、新しい表現方法を求めている人にはよい経験となることと思います。

もう一つの利点として、世界の写真家のコミュニティーの流れに入っていくことができる点が挙げられます。海外で作品を発表していくことはこの写真家のコミュニティーと繋がっていくことです。海外では自分の好きな作品を作るアーティストと様々な形で親交を含めていくことは一般的に行われています。そのようにして得た繋がりが自分の世界を広げることにつながるはずです。

日本にいながら海外で作品を発表することは可能ですか?

まず始めに言っておきますが、海外で作品を発表していくことは簡単なことでありません。競争の激しさ、言葉や文化の壁、そして実際の距離などの難しい要素がたくさんあります。「自分の作品が日本で評価されないから海外に持っていく」ということを聞くことがありますが、まず、自分の作品は本当に海外で通用するのかということを自分に問う必要があるのではないでしょうか。

これらを理解して、また自分が持っている「成功像」や理想の「ライフスタイル」に合っていることもふまえた上で作品を発表していく、ということは可能だと思います。そのためには、ただ闇雲に作品を発表するのではなく、情報を集めて戦略を作る必要があります。一回一回のチャンスに参加する意義を明確にして、何の為にこのチャンスに参加しているのかということをはっきりさせることも必要でしょう。

具体的に海外にはどのような作品発表の機会がありますか?

まず、身近なものとしてフォトコンテストが挙げられます。手軽に作品一点から参加できるものあれば、提出作品がシリーズとしてまとまっていることが条件のものもあります。つまり自分のレベルに合わせて作品を評価してくれるのかどうか試すことが出来るのです。

海外でのフォトコンテストは参加費を徴収して成り立つ、言わば一種のビジネスなので、種類もピンからキリまであります。ですのでどのような人が審査をしているのか、どのような「結果」や「成果」につながるのかという事を考えて選ぶことが大切です。現在ONWARDでは「自分にあったフォトコンテストの選び方」というアドバイスをメールで配信していますので、是非有効に活用してください。

また、アメリカまで脚を運ぶ時間と費用があれば、ポートフォリオレビューという機会があります。これは、実際に自分の作品を見てもらい、作品に対する評価や情報を得る場です。レビューアーの人柄による所がかなりあり、一概には言えませんが、作品を好んで色々と情報をくれる人もいれば、興味が全くなくあまり話してくれない人もいます。しかし、こういう場で自分に役に立つ事を聞き出し、自分には役に立たない事と振り分ける作業に慣れる事もいい勉強になるのではないでしょうか。作品がシリーズとしてまとまっているのが前提で費用もかかりますが、ある程度の準備ができているのであれば是非試してみるべきだと思います。

東京でのセミナーでも触れますが、もう一つはアプローチのしやすいギャラリーの利用です。ギャラリーといっても色々あり、商業ベースのギャラリーから、大学が持っているスペースや写真センターようなスペースまで多種多様です。セミナーを通してどのようなギャラリーがアプローチしやすいのかという背景を説明したいと思っています。

もし海外で作品を発表しようとすると、まず何をしなければいけないのでしょうか?

まずは海外でも通用する作品を作ることです。その為には海外でどのような作品が評価されているのかを知ることが役立ち、また自分の写真の理解や視野を広げてもくれるでしょう。自分の感性を形成する過程で様々なところから影響を得る事は間違いなく良いことだと私は思っています。

次に情報を収集することです。日本の雑誌などで取り上げらているメジャーな情報だけではなく、自分のレベルぐらいの人が海外で(例えばアメリカなどで)どのようなものを見ているのかと考えながら情報を探していくと情報の探し方が変わっていくのではないでしょうか。誰かに任せる(プッシュ型の媒体)ではなく自分が主体となって探す(プル型の媒体)という姿勢に慣れる必要が大切です。

そして最も大切なことは、自分の想像する「成功像」を探すことです。「なぜ作品作っているのか」または「どんなライフスタイルを最終的な目標にしたいのか」という事を常に考えて行動するべきだと考えます。これらの事がある程度自分の中で定まっていなければ、何の為に活動しているのかがはっきりせず道を見失うこともあるのではないでしょうか。

ONWARD Summitの様子

ONWARD Summitの様子

東京綜合写真専門学校でのセミナーではどのような事が学べるのでしょうか?

11月2日に行われるセミナー(2013年のイベントです)では日本人でも活用できるアメリカでのチャンスの情報を提供すること、そしてそれらに参加する意義などを考えてもらうことが目的です。このセミナーが、実際に自分が進もうとしている「キャリアの道」を設計するきっかけになれればと思っています。

今のレベルで何をすべきなのか?何をすれば次のステップに進めるのか?そのように段階的に秩序づけていくと、自分が進む道のりが明快になっていくのではないでしょうか。このように体系づける事に慣れていくことはとても大切だと思います。

参加者にはリソースブックとして、海外フォトコンテスト、ポートフォリオレビュー、アプローチのしやすいギャラリーなどに関する情報をまとめたEbookを配布する予定です。その中の情報を元に実際にどのようなステップで自分のキャリアの道を描いていくのかを説明したいと思っています。

このセミナーでも神戸でのワークショップでも説明することですが,一回のコンテストや賞に名が載ったからといって、実際に人生が大きく変わるという事はほとんどないと考えていいでしょう。それを理解した上で、ポイントを稼いでいくという感覚で、自分のCV(履歴書)に肉付けしていくということを目的にするといいと思います。

六甲山フォトフェスティバルで行われるワークショップではどのような事が学べるのでしょうか?

東京で行われる無料のセミナーでは実際に参加者の作品をみて話す事はできないため、8月31日に神戸で行われる有料のワークショップ (2014年も行なわれるイベントです)では小人数のグループで、実際に作品を見ながら具体的にどのようなステップが必要なのかという事を考えていきたいと思います。先程話した「キャリアの道」をより具体的にするのが目的です。

東京でのセミナーではあくまでも「一般的」な「道」を説明しますが、実際には皆が同じ「道」を進むのではなく、作品の内容によって手順や方法が変化していきます。(だからアメリカではこの「道」を探す手助けをするコンサルタントというビジネスが生まれる背景があるのでしょう。)個人の作品やレベルにあわせて,次に何をするのかという事を明確に定義する事がこのワークショップの大きな目的です。

日本でのプラチナプリントのワークショップ

日本でのプラチナプリントのワークショップ

ワークショップで行われる批評会では実際に何が学べるのでしょうか?

日本とアメリカでは自分の作品を見てもらった後に聞かれる質問にかなり違いがあります。この批評会では、アメリカで聞かれるような質問を体験し、実際にそれらに日本語で答えてもらいます。そうすることにより、両者の文化の違いに触れる事ができ、またポートフォリオレビューに似た体験も経験できます。この批評会はグループで行われるので他の人の作品の批評を踏まえた質問が出てくることもあり、一対一のポートフォリオレビューでは得られない経験もできることでしょう。

アメリカでは作品について具体的な事を聞くのが普通で、「何の為に作っているのか」、「作品の目的は何なのか」、「コンセプトは何なのか」などと聞かれることが多いです。いきなり観念的なことや、ある特定の国の写真の流れを引用して説明しようとしても文化の違いや言葉の壁などがあり実際は難しいでしょう。まずは具体的なことを説明できる様にして、最低限のレベルで自分の作品を他人に紹介できることを目指しましょう。

私は教わる側、そして教える側としての写真の教育は全てアメリカで行ってきました。その経験から培ってきたものを日本にいる人にも経験して欲しいと考えています。

11月2日のイベントはONWARDのニュースレターを購読している人から優先的に今週末に招待の告知が送られます。ニュースレターを購読や他の特典はこちらのリンクからどうぞ。

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ONWARDプログラムディレクター、イトウツヨシのインタビュー”へのコメントが(1)件あります。

  1. Yoshiyuki Nakou より:

    日本で行われているセミナーなどの中で,最終的な目的を示すには、開催者自身写真界への
    繋がりが薄く未来を示すには力の無さを感じて来ました。 希望の有る物でなければ
    人は動いては行きません 至極、希望を感じます。

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