ブライアン・ストームとドキュメンタリー写真の今と未来を考える:ONWARDインタビュー

BrianStorm

ブライアン・ストーム(Brian Storm)氏は、NY・ブルックリンに拠点を置くマルチメディア・ストーリーテリングスタジオ、メディアストームの創業者・エグゼクティブ・プロデューサーです。アメリカのニュース専門放送局ウェブサイト、MSNBC.com 初のマルチメディアディレクターであり、かつては、Microsoftのグループであるストックフォト会社 Corbis(コービス)のニュース、マルチメディア、契約部門の副社長を務めていました。

メディアストームはビジュアルストーリーテリングのブランドを確立し、ここ10年のビジュアルジャーナリズムの中で、最も卓越したトレンドの一つを生み出しています。同社は Pictures of The Year International 及び NPPA Best of Photojournalism で合わせて47つの賞を受賞し、同時に15作品がエミー賞にノミネートされました。また教育機関としての役割も担っており、定期的に講座を主催し、オンライン講座のコースも開催しています。

今回の ONWARDインタビューでは、長年にわたって報道写真の世界に携わってきたブライアン・ストーム氏に、ビジュアル・ストーリーテリングについて、そしてこれからのドキュメンタリー写真のあり方についてお話を伺いました。


ONWARD:なぜフォトグラファーは、写真の未来に興味を持つべきなのでしょうか?

ブライアン・ストーム(以下 Brian):もしあなたが単にお金を稼ぎたいだけの写真家であれば、特に意味のあるフィールドではないかもしれません。写真がこれから向かう道では写真家に様々な豊かな経験をもたらしてくれますが、大金が稼げるわけではありませんから。

私が今最も楽しみながら興味を持っているのは、ビジュアルストーリーを提供する側が現在利用可能となった流通方法の革命にあります。今は、写真が観客に届くという意味でこれまでにはなかった最高の時代です。作品を通じて変化を生み出すというストーリーテラーの使命は、この技術革命によって推し進められています。メディアストームは現在創業10年近くになります。ただこの歴史の長さはどんなインタビューにおいてもテーマにしたくはありません。われわれの作品に関する顧客からの強い要望には、まだ十分に答えられているとはいえないからです。

ONWARD:写真教育の分野において、現在一定のトレンドはありますか?

Brian:トレンドと考えられるものは、リポートの過程で追加要素、つまり音声と映像を加えることの重要性です。それがストーリーを豊かにし、マルチプラットフォームへの配信を可能にするからです。メディアストームはこれまで行ってきたワークショップの拡大のためにオンライン講座を始め、これまでブルックリンまで来てもらっていた受講者よりも、はるかに多くの人が受講できるようになりました。また、教育現場で使える教育者専用のプログラムも開発し、大成功しています。

ONWARD:以前にあなたは、静止画のフォトグラファーは一本の直線上のストーリーに沿って仕事をすることを提案されていましたね。なぜそれが重要だと思われるのでしょう?

Brian:インタラクティビティ(双方向性)は魅力的ですが、静止画で行うには非常に複雑です。明確なスタンダートはまだなく、私が知る中ではまだ誰もそれでビジネスを成功させた人はいません。フォトグラファーに新しい双方向性のリポートとストーリーの制作を依頼すると言うのは飛躍しすぎています。今の段階ですぐできる方法としては、映像に語りを加えて映画を作ることだと思います。映像を見るのにどうやって再生ボタンを使うかは誰でも知っています。私たちには配信のビジネスモデルもあるので、2015年はこの領域に焦点を当てるのが妥当だと思っています。


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ONWARD:コラボレーションすることの重要性をお聞かせください。

Brian:映像制作は、印刷用のスチル写真を撮ることよりもずっと協同的なプロセスです。説得力のある映画を作り出すことは様々な技術を要します。だからこそ、自分が持っている能力以外の能力を持つ人々と協同するということが理想的です。公表するものとして披露する映画はたいてい一人のストーリーテラーの視点で進められますが、最高の作品を作るためには様々な技術を持ったチームが必要なのです。

取材をする時には、二人で行います。一人はカメラをまわし、もう一人はインタビューを遂行します。残りのリポートは一人でできますが、二台目のカメラを置くことは大きなメリットになります。ポストプロダクションは一人の編集者でも可能ですが、チーム内の様々なメンバーから意見をもらうことで、より広い視野を持つ究極の映画が提供できるのです。音楽とモーショングラフィックスの専門家が最終作品をさらに磨き、そして映画の完成後は配給とマーケティングに全努力が注がれます。一人でこれらのすべての技術を持っている、もしくはこれらの各専門分野を非常に高いレベルで遂行できる人はいないでしょう。

ONWARD:あなたはソーシャルメディアを「火に注ぐガソリン」と称されました。これがどういう意味で、またそれが示す課題についても説明してください。

Brian:ソーシャルメディアを通して私たちの映画が広まったことにとても感銘を受けました。ソーシャルメディアは今までに存在したなかで最も強力なマーケティングツールの一つです。一人の人がクリック1つで100人、1,000人のフォロワーと映画を共有することができるのです。私たちが映画を商標化し保護するために行ったことのひとつは、自社プレーヤーを持つということでした。また、自社製品用に製作した洗練されたパッケージと同じレベルの映像を必要とする顧客のために、自社プレーヤーのライセンスを取得しプラットフォームを管理するということも始めています。

ONWARD:写真の普及が社会の視覚判断能力に与えた影響はどうですか?

Brian:歴史上、今は人々がもっとも写真を見て、もっとも写真を生み出すというユニークな時代です。私としては、視聴者が積極的に私たちの作品に参加していて、それはとても素晴らしいことだと思っています。人々が素晴らしいイメージを見たとき、どのようにその瞬間を捉えられたのか、今日では皆がもっとも良く知っているのです。

ONWARD:近年、メディアストームでは映像制作に力を注いでいます。スチル(静止画)との関係はどのように変わりましたか?

Brian:私たちは長期的なプロジェクトでまだ多くのスチル写真のフォトグラファーとコラボレーションしています。私たちはJeff Hutchens(ジェフ・ハッチンズ)の巧妙なスチル写真を紹介する「Travel Anonymous」という映画をもうすぐ完成させます。現在は、弟ニックを親密に撮影したChristopher Capozziello(クリストファー・カポツィエロ)のスチル写真をテーマにして、長期的なプロジェクトを進めています。

私たちは引き続きスチルイメージに力を注いでいますが、ストーリーテリングの手法は常に増やしています。それは当然、当社の写真ディレクター、Andrew Michael Ellis(アンドリュー・マイケル・エリス)のビデオや映画の技術を含みます。アンドリューは「Fight Hate with Love」という重要な映画の最終段階にいます。スチル写真でやってきたものと同様に、映像作品を視覚的に洗練されたものにすることが我々の目標です。

ONWARD:フォトジャーナリズムにおいては、画像の加工に関する不祥事が毎年のように発生しています。この点において、倫理基準を見直す時にきていると思われますか?

Brian:フォトジャーナリズムの倫理を考えなおす必要があるとは、私は思いません。テクノロジーが変化したからといって、それがストーリーの記録を低い倫理観で扱ってよい理由にはならないからです。

この記事はONWARDアメリカ版ブログに掲載された記事の翻訳版です。

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